立ち上がり教室まで走ろうとした時、こつんと何かを蹴った。 ………ライター? 「どした?」 杏ちゃんがひょいと覗きこむ。 「あ、ライター…落ちてたの。 これってあの人のかね?」 「………ライター?」 「うん。でもライターなんか普通高校生が使う?」 「確かに。それさ、そもそもあの人のじゃないかもしれないしさ。 てかヤバいよ時間!!!ほらっ急ご!!!」 「…ああっ!そっかごめん!」 思わず赤いライターをぽっけに入れた。