「も、ここでいいよ!」
「は? 何で」
……マズい。
メールの返事が、来ない。
急いで準備をしているのか、ケータイの充電が切れ……
最悪の自体を予想した。
でも、もっとマズいのは少し不機嫌になってしまった恭一くんだ。
「た、ただいま~」
もう、一か八かで強行突破で行くことにした。
ドキドキしながら、マンションのドアを開けた。
鍵が掛かっていないことは、誰かいるはず。
ってもう、6時近くだからみんな帰って来てる――?
「おかえり~」
パタパタと走って来たのは、ナナだった。
「……あれ?」
あたしの隣にいる彼を見て目を丸くしている。
「ねぇね、ごはん~……お腹空いた!」
ナナの後ろからココも続いて走ってきた。
妹たちにも恭一くんを紹介して、キッチンへと向かう。
「お兄ちゃんが今作ってくれてるの」
「おかえり。……あ、?」
フライパンから外した視線が、自然とあたしに向けられる。
「何? 新しい彼氏?」
「もぉっ、ハル口悪い!」
こんな感じで彼氏紹介は、あっという間に終わってしまった。

