恋して、チェリー



本当にあたしが好きなのか……
ううん、それ以前に。

なんでこんなあたしと付き合ってくれたのかとか。


その意味さえ分からないあたしは、段々と気持ちが乱れてきて。


爆発的に暴走してきただけに、ふと立ち止まって後ろを振り向いてみれば……


――ヒドい有り様だった。



好き、すき、スキ。

その燃料だけで走ってきたあたしは、たどり着いた次のステージの存在さえ忘れていたんだ。




「……」

途端に黙り込んだあたしを、
イジワルな瞳で見つめ続ける王子サマ。



「好き、なんだもん……」

気持ちがぐちゃぐちゃになってしまったあたしは、涙をこらえ切れなかった。


ぐすっ……、
手の甲で、顔を隠す。



――やってしまった。

こんなの、子供がだだをこねるのと同じ。


ママ、あのおもちゃ買って!

ねぇ、好きって言って!



面倒くさいだの、ウザいだの。

突然泣き出すあたしに浴びせられた言葉。


こんな時に泣いちゃダメだって。

自分の気持ちを勝手に押し付けて相手の気持ちを強要すること。



そんなの、やっちゃダメだって。

学んで来たハズなのに……。