恋して、チェリー



「案外、弱るんだな」

――いつもこんくらい大人しけりゃいいのに。

ショコラ色の瞳が、優しげに揺れる。


なんだか、いつもより優しい気がする。

あたしが倒れたせいかな?


これなら毎日倒れてもいいかも。


明日からも、水は飲まないでミルクティー・オンリーで。

なんて……ぐふふふ。




「ねぇ、あたしのことスキ?」

唐突だったかな。

付き合ってから、言われたことのない言葉。

今、1番言われたい言葉。


女の子はいつだって、決定的なコトバが欲しいの。




すると次の瞬間、恭一くんの瞳の色がスッと変わった気がした。


あたしが掛けている布団の上に頬杖をついて、見つめてくる。



それはもう、イジワルな瞳で。




「――さぁ?」

明らかに、面白がっている瞳の色は少し細められていて。


「……むっ、」

きっとわざとからかってるんだ。


あたしと違って彼は、あまり感情を表に出さない。

だから彼女のあたしが、ソレを汲み取れるだけの心があればいいんだけど。