恋して、チェリー



どれくらい眠っただろう。


口の中にまだ僅かに残る、スポーツドリンクの後味。

ぼんやりと重たいままの頭。



――ガラッ!


ドアが開かれた音がして、ハッとした。

もう、授業終わったのかな……?


次の瞬間には、ベッドを隠すはずの白いカーテンがあたしの視界を広げた。



「倒れたって聞いて、」

そこには、少し息を乱した恭一くんが。


「あ……、?」

首を傾けて、さっき言われたキナの言葉を思い出した。


“スペシャルゲスト”

って、もしかして――…?




「ありがと、……嬉しい」

息が上がってるのは、走って来てくれたからでしょう?



「走ってきて、くれた?」

「……ああ」

ベッドのすぐ脇に置かれたイスに座ってくれる。


「手、繋いで?」

弱ってる時って、ものすごく甘えたくなるんだ。

布団から、ゆるゆると手を差し出す。


なかなか出してくれない彼の手を、腕を精一杯伸ばして……


そして、――触れた。