「昔してたバイトの後輩でね」
――こんな縁もあるなんてねぇ?
……は、?
バイト?
ってことは、ふたりは同じバイトで知り合ったってことなの?
「まさか九条と同じ高校とはね」
「転校前の学校では、同じ部活だったんだ」
空也が優しく教えてくれる。
「忘れられない女がいるって相談されててね」
じゃあ本当に、……全てが解決したってこと?
「……」
こんなことって、本当にあるんだ――。
あたし達を含め、胡桃ちゃんや九条センパイ。
何かしら、みんな繋がっていたなんて。
「ちぇり、さっきの返事だけど」
「……あ、」
俯くあたしを、覗き込む空也。
「強引に、奪ってもいいよね」
その言葉と共に、大きな手が頬に添えられて。
されるがまま顔を引き上げられる感覚に、ギュッと目を閉じる。
ダ、ダメ……緊張してカチカチになってしまった体が言うことを聞いてくれない。
空也の息遣いが、すぐそばまで迫った時――。
「返してくんねぇ? そいつ、オレのだから」
腕ではなく、お腹に巻きついた彼の腕にそのまま引き寄せられて。
「そんなにオレにヤキモチ妬かせたいの?」
耳にかかる熱に、背中に電流が走ったかのように軽く仰け反るあたしを。
彼が胸の中でしっかりと抱き止めてくれる。

