「なんかソレ、嵐なんかよりも何かすごい事が起きそうな予感」

「あたしも」

放課後早々、3人で話してたあたし達。



「邪魔になるといけないから」

「先に帰っとくね?」


そんなふたりの背中を、教室の窓から見つめる。



ぬるくなったペットボトルの紅茶を一口流し込む。

ふと、次の瞬間。



「あ、アンタ……!」

突然、声を荒げるキナの声が耳を差す。

弾かれたように校門を見ると、なぜかそこには空也の姿が。



ど、動揺してる……?

あの誤解は、たまたまキナが撮った写真から始まったものだから。

別に、今ももう――気にしてないのに。



「あれ、イケメンくん」

比奈の声も聞こえる。


珍しくオロオロと狼狽えるキナに見かねて、大きな声を出そうとすうっと息を吸い込んだ時だった




「っ……、」

空也の大きな二重の瞳が、あたしを捉える。

嬉しそうに目を細めると、こちらに向かって手を振り始めたんだ。


カバンを乱暴に肩にかけて、急いで階段を駆け下りる。