「何があったかは知らないけど……」 ――姉ちゃん強がってるように見えて本当は弱いんだからさ。 「……」 アイツの表情が、変わる。 オレンジかがり始めた空に、瞳を細めて。 懐かしいものでも見ている表情はきっと姉ちゃんのことを思い出してるんだと分かった。 「大切にしてやってよ」 ただ、それだけだった。 最初から、“そういう”考えだったのか。 オレの言葉がそうさせたのか。 まさか別れる、なんて……1ミリも予想出来なかった。