「信じらんないっ」

と、比奈が目を丸くする。


「助けてもらったのに?」

チクッと刺さる視線にヒヤッとしながら、どうにか返事を絞り出した。



「だ、だって……怖かったんだもん……」

あんな風に襲われかけたことなんか初めてで。

ましてや、こんな身近過ぎる学校で。


いくらケータイを忘れたからって遅い時間に取りにいったあたしも悪いけど……。


まさか、あんな超危険人物に指定されるくらいの――チャラ男子がいるなんて。



王子サマみたいな風貌だったのは覚えてる。

でも、涙と恐怖で上書きされてしまったその映像はあやふやになってしまって。




「ふぇ……っ、」

「「ごめん、ごめん」」

思い出された恐怖の場面に、蘇るのは嗚咽だけ。



今のあたしに降ってきた使命は、新しい恋をゲットするに加え。


①この恐怖を克服すること

②助けてくれた男の子を探して
③お礼を言うこと



このみっつに絞られた。