薄汚れた床に散りばめられたのは琥珀の月。

原型なんかなくって、粉々に砕け散ったカケラで。



「……あっ、……」



「お前が暴れるからだぜ?」

「おとなしくしてろよ」


愕然とうなだれるあたしに、行為を続けようとする男子たち。



「イヤだ……っ!」

強張った手が太ももに触れ、あたしが懲りもせずに抵抗した時。




「――何してんの?」

音もなく現れたのは、まさしく“王子サマ”という言葉が似合う男の子。



少し着崩した制服に、2つまで空けられたボタン。

その隙間から覗く白く滑らかな肌にキレイな鎖骨。



同じ男子なのに、どうしてこうもこのチャラ男子とは違うのか。


冷たい瞳で、まるで凍ってしまうような視線を落とすその人にどこか見入ってしまう。




「大丈夫、だから」

あたしに向けられたその瞳が、氷が溶けたような、温かいモノに変わったから。