空っぽのfifteen

しかし、明美は大抵家にいる。

独身とは言え、一人暮らしをしているわけだし、それにアタシの身の回りのものを買い揃えてもくれる。

働きもしないで、どうやって生活できるのだろうかと疑問に思い、明美に聞いたことがある。

すると明美は細いメンソールのタバコに火を点け、フーッと煙を吐き出すと、半笑いをしながら『慰謝料』とひとことだけ答えた。

前にも言ったが、明美は子供を産むことができないことが理由で離婚したのだが、更に深く突っ込むと、業を煮やした旦那が外に子供を作ってしまったのである。

まぁ、愛人との間にデキちゃった、ってやつで。

それで明美はごねることなく離婚に応じる代償として、多額の慰謝料をもらい受けたのだと言う。

そもそも結婚すること自体も猛反対されて、押し切るように結婚したものだから、離婚するともなれば旦那の両親は待ってましたと言わんばかりに、明美の提示した金額に更に上乗せして、慰謝料を支払ってくれたらしい。