空っぽのfifteen

そんな中、とうとう明美の母親は出産をした。
しかもよりにもよって、双子の女の子。

自分たちに妹が一気に２人もできた弟たちは大いに喜んだが流石にこれには、中学生ながらにも明美は頭を抱えて、その頭には大きな円形ハゲができた。

明美の小さな肩には、更なる重荷がずっしりとのし掛かったのである。

しかし、それもややしばらくすると、それまでの大変な生活が少しばかり楽になった。

というのも、双子の父親に当たる男は、それなりに名の通った政治家で、偽名で明美の母親と通じていてもその顔自体が名刺そのもので、明美の母親はその男の事務所に連絡を入れたのである。

認知をしない代わりに手切れ金をせしめたのである。

これで戸籍上、父親が存在しない子供が４人に増えたのである。

一応戸籍上は父親が存在する明美だったが、明美もまた、父なき子の一人であることに変わりはない。

流石に中学生ともなれば、この事実を把握しないわけもないと同時に、母親に対して不信感を抱かずにはいられない明美だった。