幻聴?なんて思いながらも、静かに忍び寄ってくる足音に涙が止まらない…。
「亜朱実ちゃんに連絡貰ったんだ、だからたまには仕事も放置?」
「っ、なん…で、っ…笑って、んのぉー…?
あた、し…、酷い事言って…」
「じゃあ、何で紗枝は泣いてるの?」
振り向けば其処には、ちょっと疲れて見えるけどいつもの優しい顔をしたユキヤを捉えて。
まるで彼にだけ反応する磁石のように、私の身体は安らげる場所へと向かってしまう。
「うっ、ご、めん…、さ、みしかった…っ――」
「うん、俺も」
「ゆ、きやぁ…」
「ごめんな、寂しい思いさせて」
「うー…っ、」
ボロボロ泣くなんてガラじゃないのに…、次々に生産される涙は少し私を素直にしてくれた。

