「ま、って…まっ」
声が上手くでない。手を伸ばしてもとどかない。
やだ…やだ…まだ自分の本当の気持ちもいってないのに…やだ…
胸が苦しくて、涙があふれる。
「…り、小百合…」
声が聞こえる。聞き慣れた声。
「小百合っ!」
視界に広がる見慣れた景色。お気に入りの花の壁紙が目にはいる。
いまのは…夢?
息を吸ってはく。自分を落ち着かせた。
「、大丈夫?小百合うなされてたよ」
「有花…」
親友の有花だ。
嫌な夢をみた…うわ…体がベタベタしてる、汗かいたんだ。
「大丈夫?電話してもでないから、さ」
「だ、大丈夫…」
手の平で額の汗をぬぐう。体を上半身だけ起こして、ベットに手をついた。
「有花…なんで私の家にいるの?」
「なんで…じゃないでしょおおぉがぁあぁ」
ビクッと体が揺れる。地が揺れるような有花の声。
ま、まずい…有花様が起こってらっしゃる…

