「――ひまわり…?」

少女――ひまわりは、大きな目をさらに大きく見開いた。

「今日からお前の名前は、“ひまわり”だ」

陣内はひまわりの頭に向かって手を伸ばすと、ひまわりの頭をなでた。


「なあ、陣内」

会社に向かう車の中、藤堂が声をかけた。

「何だ?

彼女に関してまだ気に入らないことがあるのか?」

「そうは言ってないだろ」

藤堂は少し黙ってから口を開くと、
「何で彼女に、その名前をつけたんだ?」

その質問に、陣内は目を伏せた。

「お前、ひまわりの花は嫌いだっただろ?」

「ああ、そうだ。

だから何だ?」

そう聞き返した陣内に、藤堂は何も言えなかった。