Monsoon Town

「さっきは、悪かった」

少女が顔をあげて、陣内を見つめた。

「さっきも言ったと思うが、俺の名前は陣内龍平だ。

あっちの2人は、秘書の藤堂伸一郎と医者の北川隆志だ」

陣内に紹介された2人は、少女に会釈した。

「彼らは俺の友人だ。

お前に危害は加えないから安心しろ。

加えたとしても、俺が罰する」

そう言った陣内に、
「俺を悪者扱いするな」

藤堂がたしなめるように言った。

その横で北川が共感するようにうんうんと、首を縦に振ってうなずいていた。

「お前は…昨日、雨の中で倒れていたところを俺が見つけたんだ」

小さな子供に言い聞かせるように、陣内が言った。