「どちら様でしょうか?」

スピーカーから聞こえた声に、
「藤堂です、会長に呼ばれました」

藤堂は返事をした。

「わかりました、すぐに門をお開けします」

ガチャッと言う金属音と同時に、自動的に門が開いた。

藤堂は陣内家の敷地に足を踏み入れた。

彼が敷地に入ったことを確認すると、門は自動的に閉まった。

「相も変わらずだな」

隅から隅まで手入れされた広い芝生。

門と家までの長い距離。

城かと思うくらいの立派な屋敷。

金持ちのやることは、30歳を過ぎた今でもよくわからない。

そう思いながら、藤堂は家までの道のりを歩いた。