Monsoon Town

ピクリと、少女の眉が動いた。

それに陣内は反応したと言うように、少女の顔を覗き込んだ。

「――今…」

そう呟いて北川に確認すると、
「意識が戻ったようだね」
と、彼が言った。

少女がゆっくりと、目を開ける。

くっきりとした二重の大きな目だった。

ゆっくりとした動きで、少女が躰を起こした。

「――ここ…?」

少女は落ち着かなそうにキョロキョロと首を動かして、周りを確認していた。

「気づいたか?」

陣内が少女に聞いてきたので、少女が陣内と目をあわせた。

「――あなたは…?」

澄んだソプラノの声で、少女が聞いてきた。