Monsoon Town

少女から息の音を聞いたとたん、
「おい、大丈夫か!?」

陣内は叫ぶように大声を出して、彼女の躰を揺すった。

「陣内、躰を揺らさない方がいい」

そう言った藤堂に、陣内は訳がわからないと言う顔をした。

「この様子からして見ると、かなり衰弱してる。

長い時間、雨に当たっていたからなのかも知れない。

とりあえず、家に運べ」

「ああ」

陣内は首を縦に振ってうなずくと、少女を抱きあげた。

「今は、雨のないところへ連れて行くのが先だ。

医者はそれからだ」

走って陣内の後ろをついて行きながら、藤堂が言った。