Monsoon Town

雨がやんだ…と思ったら、頭のうえで藤堂が傘を差していた。

「陣内、その子」

そう言った藤堂に、
「目立った外傷がないところを見ると、事故ではない」

陣内は腕の中にいる少女の額に貼りついている前髪に手を伸ばした。

「――ッ…！？」

触れた瞬間、陣内の手がビクリと跳ねた。

「どうした？」

そんな陣内の様子に、藤堂が聞いた。

「…すごい熱だ」

呟くように言った陣内に、藤堂は少女の額に自分のを当てた。

「本当だ、それもかなり高い」

そう返事をした藤堂に、少女が弱々しく息をする音が聞こえた。