突然のように叫び出した陣内に、藤堂は慌ててブレーキを踏んだ。

キキーッと耳障りな音を立てると、車が止まった。

藤堂は後部座席にいる陣内に首を向けると、
「どうした!?」
と、声をかけた。

「人が倒れてる!」

陣内の答えに、藤堂は前に視線を向けた。

その光景に、藤堂は目を疑った。

陣内の言う通り、道路に人が倒れていたからだ。

もしかしたら、ひいてしまったかも知れない。

そう思ったら、藤堂の顔が青いものに変わった。

ガチャッとドアの開く音が聞こえたと思ったら、陣内が駆け寄って行こうとする姿が見えた。

あらかじめ用意しておいた折りたたみ傘をカバンから取り出すと、後を追うように藤堂も車を降りた。