――あなたはあたしを愛すべきです

(――愛すべき、か)

愛して、一体何になるのだろうか?

そんなにも、愛することは得だとでも言うのだろうか?

誰かを愛して、それが一体何になると言うか陣内にはわからなかった。

愛すことも愛されることも、何がよくて何が得なのか…一体何になると言うのだろうか?

(――俺には、わからないな…)

わからなさ過ぎて、頭がおかしくなりそうだった。

わからなさ過ぎて、神経が鈍くなりそうだった。

どんなに考えてみてもわからないものはわからない。

ふと、前に視線を向けた時だった。

「――止めろ、藤堂!」