夜になったとたん、雨が降り出した。

「雨は明日だったはずだろ」

フロントガラスをたたく雨を見ながら陣内は文句を言った。

「仕方ないだろ、全てが全て予報の通りになる訳がない。

予報が外れる時だってあるんだから、そう文句を言うな」

車を運転しながら藤堂が言い返した。

雨はどしゃ降りとも言っていいくらいの大雨である。

ワイパーが右へ左へと動くもののキリがない。

陣内は、見合いの席で言った綾香の言葉を思い出していた。

――夏が終わるまでに、あたしはあなたを落としてみせます

自信に満ちあふれた不敵な笑みで、綾香はそう言った。

まるで賭け事の結果が見えているとでも言いたげだ。