「はっ…?」

突然のことに、陣内は訳がわからなかった。

(この子は何を言っているんだ?)

「あなたはあたしを愛すべきです」

不敵に笑みを浮かべながら、綾香が言った。

「あたし、自分が欲しいと思ったものは手に入らなかったことがなかったんです。

欲しいものは必ず自分の手の中に入りますから。

だから、あなたを落とす自信があたしにはあるんです」

勝ち誇ったように笑う綾香に、陣内は何も言えなかった。

「この夏が秋に変わるまで、あたしはあなたを落としてみせます。

あたしなしじゃ生きられないと、あなたの口からそう言わせてみせます」

突然のように儲けられた賭け事に、陣内は何も言い返せなかった。