Monsoon Town

「ごめんなさい」

フフッと楽しそうに笑いながら、綾香が言った。

そんな彼女の様子に、陣内は眉をしかめた。

(――俺が怖くないのか…?)

楽しそうに笑っている綾香に、陣内は思った。

綾香は笑いを止めると、
「突然でごめんなさい、陣内さんも仕事とプライベートは別々に考えるんだなって思ったんです。

それがおかしかったから、つい」
と、はにかんだように言った。

「俺は年がら年中と仕事をしている訳ではない」

「そうですね」

ニコニコと、綾香は愛想よく笑顔を見せながら返事をした。

陣内は彼女の笑顔から目をそらすように、庭の景色に目をやった。

だけど、そこにあったものに陣内はすぐにそこからも目をそらした。