Monsoon Town

「遅れて申し訳ありませんでした」

そこに聞こえてきたアルトの声に視線を向けると、パステルカラーのワンピースをきた少女・周綾香がいた。

その隣にいるのは、彼女の父親だろうか?

彼女と同じ雰囲気を感じた。

「道が混んでたものですから、くるのが遅くなってしまいました」

ペコリと、丁寧に頭を下げるその姿は財閥の令嬢そのものである。

「いや、気にしなくてもいいよ。

孫も今きたところだから」

そう言った龍太郎に、陣内は特に何も言わず黙っていた。

「早速のところだが、2人きりで話してみないか?」

「…はっ?」

突然のように、祖父は何を言い出したのかと陣内は思った。