Monsoon Town

某ホテルのロビーに到着すると、祖父の龍太郎がそこで待っていた。

「久しぶりだな、龍平」

「…お正月のお集まりの時に顔を出したと思いますけど」

ニコニコと笑顔を見せる龍太郎に、陣内はため息混じりに言った。

「それよりもじいさん、用事があるならば俺を呼べ。

わざわざ藤堂を家に呼び出させて伝言をさせるな」

そう言った陣内に、
「伸一郎くんは手伝ってもらっただけだ」

チラリと、龍太郎は陣内の後ろに立っている藤堂に視線を向けた。

それに対して、藤堂は会釈を返した。

「藤堂、あいさつをする必要はない」

たしなめるように陣内が藤堂に行った。

「そこまで言うことかね?」

苦笑いを浮かべながら、龍太郎が言った時だ。