「陣内さん?」

ガーベラを見たひまわりは、不思議そうに首を傾げた。

「指輪の代わりだ」

陣内が言った。

「本当なら、プロポーズには指輪が必要なところだが…今はそれがない」

独り言なのやら、言い訳なのやら、自分でもよくわからない。

「ひまわり、俺と結婚してくれないか?」

改めて、そのセリフを言った。

指輪がないのは仕方がないけど、今はこれで我慢して欲しい。

そのうち、彼女の左手の薬指にそれをつけるから。

ひまわりはニコッと微笑むと、
「喜んで」

そう言って、左手でガーベラを受け取った。