――もう、疲れた…。

歩くことも、生きることも、何もかも疲れてしまった。

できることなら、全て忘れたい。

幼い頃からの思い出も、自分と関わってきた人たちも、何もかも忘れてしまいたい。

ズキズキと、足が痛んでいる。

頭がフラフラとしている。

空腹なんて、どうでもいい。

意識がぼんやりとし始めたその瞬間、ガクンと足が崩れ落ちた。

頬に感じたのは、雨に濡れたコンクリートの地面だった。

冷たいとか、汚いとか、今はどうでもいい。

背中に激しく当たる雨の雫が痛い。

――もう、終わるんだ。

これで目を閉じたら、全てが終わるんだと思った。