昼下がりのカフェで、陣内はある人物を待っていた。

コーヒーの香りが鼻をくすぐる。

腕時計に視線を向けると、時間の確認をした。

(――そろそろ、だな)

「お待たせしました」

その声に顔をあげると、あの日の彼が目の前にきていた。

ひまわりを“ミユ”と呼んだあの男である。

「――日高彰久(ヒダカアキヒサ)くんだな?」

そう聞いた陣内に、
「…そうですけど?」

男――日高は戸惑いながら聞き返してきた、

驚いたのは、名前を言われたことに対してだろう。

「君のことは、ひまわり――浅野心結と共に調べてもらった」