Monsoon Town

――もう少し、自分に自信を持て

陣内と出会わなかったら、自分は今までのままだっただろう。

自分に臆病で、現実から目をそらし、夢ばかりを見ていた。

そんな中で彼と出会って、恋をした。

恋愛小説のような幸せな結末にならなかったけど、それでもよかったと心の底から思った。

(次に私が陣内さんに会う時は、私に素敵な人ができた時)

その素敵な人が王子様じゃなくても構わない。

陣内みたいな王様でも、好きになれるかも知れないと、胸を張ってそう言える。

(待ってくださいね、陣内さん!)

会社を出たとたんに、フワリと風が髪を揺らした。

カツカツとヒールを鳴らして、那智は歩いた。