暗いせいで、その顔が見えなかった。

だけども、知っているような気がする。

「――嫌…」

そう呟いた瞬間、躰が震え出した。

知っているから怖い…。

目の前にいる人物も、この結末も、知っているから怖いのだ。

「やあっ!」

誰かに両肩をつかまれたと思ったら、その場に押し倒された。

「やめて!」

抵抗しようとしてもかなわない。

力に差があり過ぎて何もすることができない。

身をよじっても、足をバタつかせても、この場から逃げ出すことができない。

「――ミユは僕のものだろ?」

その言葉に、躰が恐怖で固まった。