話し終えた藤堂は、3人の顔を見回した。

那智は悲しそうに眉を下げて、膝に置いた自分の手を見つめていた。

綾香はうつろな目で、どこかを見ていた。

ひまわりは、うつむいていた。

「――これが、陣内の過去だ」

藤堂は言った。

彼が愛を知らない理由は、それが全部だった。

この場に沈黙が流れる。

重たくて、息苦しくて、耐えられない。

「――何で…」

沈黙を破ったのは、ひまわりだった。

「――何で…陣内さんのお母さんは、そんなことをしたんですか?」

そう言って顔をあげたひまわりの顔は、涙でグシャグシャだった。