そう質問した陣内に、藤堂は言葉が出なくなった。

「――母さんは、僕を愛していたんでしょう?

けど…母さんは、僕を捨てた」

震える声で言う陣内に、藤堂は何も言えなかった。

「だったら何なの?

“愛”って何なの?

僕は母さんにとって、必要なかったってことでしょ…?

邪魔者だったんでしょ…?」

「陣内!」

藤堂は耐えられなくなって、気がつけば叫んでいた。

自分を責めないで欲しかった。

必要ないとか、邪魔者とか、言わないで欲しかった。

ただそれだけだった。

陣内は涙を流した。

そんな彼を、藤堂は見つめることしかできなかった。

 * * *