そのショックのあまり、悲しみのあまり、父親も死んだ。

両親を次々と亡くした陣内は1人だった。

唯一の肉親である祖父は仕事が忙しくて、陣内に構うことができなかった。

広い屋敷の中で、陣内はただ1人だった。

藤堂は朝早くから陣内の家にきては、夜遅くまで彼と一緒に過ごした。

そうしないと、陣内も両親の後を追うかも知れないと思ったからだ。

藤堂はそれが怖くて、常に陣内のそばにいた。

「――藤堂」

夏休みも終わりにさしかかったある日のことだった。

本を読んでいた藤堂に、陣内が呼んだ。

「どうした?」

呼ばれて返事をした藤堂に、
「――“愛”って何だと思う?」

陣内が聞いてきた。