「もう、たくさんだ!」

吐き捨てるように、陣内が言った。

「さっきから黙って聞いていれば、何が言いたいんだ!?

好きだから、婚約者だから、一体何だって言うんだ!?」

狂ったように怒鳴っている陣内に、何も言えなかった。

那智は震えながら陣内を見ることしかできない。

綾香は陣内から目をそらすように、自分のつま先を見つめた。

ひまわりは怯えた表情で、陣内を見つめている。

「最後は俺から離れるくせに…。

最初から俺のそばにいようと思ってないくせに…」

声が震えているのは、怒りからかだろうか?

「もういい加減にしろ!

もうたくさんだ!」

叫ぶように言うと、陣内はその場を飛び出した。