Monsoon Town

その顔は真剣だった。

那智は陣内の前に歩み寄ると、
「話があります」
と、言った。

ただならぬ雰囲気に、陣内は何も言えなかった。

藤堂もひまわりも、何も言わず黙って見ているだけである。

ロビーに沈黙が流れた。

その沈黙を先に破ったのは、那智だった。

「――私、陣内さんが好きです」

聞き間違いかと、思った。

けど、彼女の唇からこぼれたのは告白だった。

「陣内さんに好きな人がいても構いません。

陣内さんの愛人の1人としても、私のそばにいても構わないです」

真剣な顔でそんなことを言った那智に、陣内は何も返せなかった。