夢を見た。

「――待って!」

ああ、またあの夢か。

幼い頃から何度も見た夢の結末は、わかっている。

なのに、
「待って!

置いてかないで!」

追いかけても、追いかけても、背中は遠くに行っていく。

その背中の主は、決して振り返ろうとしない。

なのに、追いかけている自分がいる。

それでも振り向いて欲しいから、自分はその背中を追いかけている。

何度も何度も声をあげながら、何度も何度も声が枯れるまで。