その様子を見ていたのは、2つの影だった。

「――絶対に、陣内さんをあたしのものにして見せるわ。

あの子にも、誰にも、陣内さんを渡さないんだから」

自分にも、もう姿が見えなくなった彼に言い聞かせるように呟いた。

自分とつりあいがとれる相手は、陣内ただ1人だけだ。

欲しいものは、必ず手に入れるのが当たり前だ。

「――愛人でも構わない、陣内さんがそばにいればいい」

小さく呟いた独り言は、誰にも聞かれることなく静かに消えた。

彼は、私が本気で恋に落ちた人だ。

彼に相手がいたとしても、自分は彼のどこにいても構わない。

セフレだろうが愛人だろうが、彼のそばにいられることができるならばそれでいい。