Monsoon Town

空を見るだけ見た陣内とひまわりは、中庭を出た。

「すっかり遅くなりましたね」

「もう9時を回ってる、当然だ」

2人で話をしながら、ロビーを通り過ぎようとした時だった。

「陣内さんではありませんか」

その声に視線を向けると、長身の男が微笑んでいた。

“絶世”と言う単語がよく似合う、美しい男だった。

整った美しいその顔立ちに、性別を忘れて思わず見とれしまうほどである。

言葉で言い表すとするならば、“妖艶”だ。

きっちりと着こなしたスーツは、まるでモデルのようである。

「知りあいですか?」

ひまわりが聞いた。