遠くからでも目を追っているのは、自分の気持ちにまだ未練があるからなのかも知れない。

那智は食べるのをそっちのけで、陣内を見つめていた。

当の彼は楽しそうに隣の彼女と話しながら、食事をしている。

その光景に、ズキン…と那智の胸が痛んだ。

陣内に対する自分の気持ちに気づいたと思ったら、まさかの結末である。

どん底に突き落とされたとは、まさにこう言うことを意味するのだと思った。

「あんまり食べないね」

そんな那智に声をかけてきたのは、東雲だった。

「あの、奥様は…?」

そう言った那智に、
「理彩なら向こうで堺たちと話してる」

東雲は答えた。

視線を向けると、これまた楽しそうな雰囲気の彩花を始めとする女3人組がいた。