Monsoon Town

「――わたし、病気なんでしょうかね?」

そう言ったひまわりに、
「病気?」

藤堂が訳がわからないと言うように聞き返した。

「陣内さんを見ると、心臓がドキッとして…。

微笑まれると、躰が軽くなったような気がして…。

なんて言うか、おかしくて、病気になったのかなって」

“陣内さん”と口に出したとたん、また心臓がドキッ…と鳴った。

名前にまでドキッとするなんて、よほどの重症らしい。

藤堂はフッと笑うと、
「ひまわりは、陣内に恋をしてるんだな」
と、言った。

「えっ…?」

彼の言っていることが、よくわからなかった。