Monsoon Town

「――は、はい!」

返事が遅れてしまったことは、バレていないだろうか?

陣内は目を細めると、
「じゃあ、1階のロビーで待ってる。

準備したら早くこい」

「はい、わかりました!」

ひまわりが返事したのを確認すると、陣内は背中を見せた。

自分の躰が空気になったみたいで、浮いてしまいそうだった。

「ひまわり、どうした?」

「えっ?」

顔の前で手をヒラヒラとさせている藤堂と眼があった。

「…やっぱり違うな」

ひまわりは小さく呟いた。

「何が違うんだ?」

聞こえたのか、藤堂が首を傾げた。