Monsoon Town

困ったように言っている陣内だが、顔はどこか嬉しそうである。

「顔、笑ってるぞ」

藤堂が指摘すると、陣内は手で口を隠した。

そんな陣内に藤堂はクスクスと笑いながら、
「別に隠すような問題じゃないだろ?」
と、言った。

陣内は顔の半分を手で隠しているだけで、何も言わない。

「ひまわり喜んでるんだし、陣内も嬉しいんだろ?」

「まあ、それは…」

「ひまわり、連れてきてよかったな」

窓に顔を向けたまま、ひまわりはまだ歓声をあげている。

誰から見ても、彼女の様子は嬉しそうだ。

「ひまわり」

そんなひまわりに、陣内は声をかけた。

声をかけられたひまわりは、陣内に顔を向けた。