Monsoon Town

「どうした?」

少しだけドアを開けて、藤堂が顔を出した。

「藤堂さんの部屋から山が見えるって、陣内さんが!」

大きな目をキラキラと輝かせながら、ひまわりが言った。

「ああ、そう言うことか。

はい、どうぞ」

藤堂が大きくドアを開けたのと同時に、ひまわりが待っていたと言うように部屋の中に入った。

「すっごーい、山だー!」

ひまわりの歓声が部屋に響いた。

彼女の視線は窓――と言うよりも、そこから見える山の景色に釘づけだ。

そんな彼女の後ろ姿を見ていた藤堂に、
「やれやれだな」

陣内が声をかけてきた。