「藤堂さん、前」

ひまわりに言われて、藤堂は慌てて姿勢を戻した。

「俺の親戚と言ったら、ホテルのヤツらがビックリする」

そう言った陣内に、
「まあ、これから行くホテルは陣内の叔父さんが経営してるからな。

ビックリすると言うか、怪しむな」

藤堂は言い返した。

「だから気にするな、ひまわり」

そう言った陣内に、
「うん!」

ひまわりは笑顔になると、首を縦に振って大きくうなずいた。

「じゃあ、ついたら海に行きましょうよ!」

「ハハッ、ひまわりは元気だな」

藤堂が笑いながら言った。

(現金が正しいような気もするが…)

口には出さず、陣内は心の中で呟いた。