Monsoon Town

翌日の午後、綾香は陣内の会社を訪ねていた。

もちろん、約束なんかしていない。

自分から勝手に乗り込んできたのだ。

エレベーターに乗ると、最上階へと向かった。

チンと音を立て、エレベーターが到着したことを告げた。

扉が開いた瞬間、綾香は降りた。

今日は、秘書の藤堂はいない。

「この時間帯にきて、正解ね」

腕時計で時間の確認をすると、綾香は呟いた。

向かうところは、ただ1つである。

綾香が社長室のドアに手をかけようとしたその時だった。