だから、賭けた。

変なヤツだって思われても構わない。

けど、せめて少しでもいいから、彼の心の中にいたかった。

そう思いながら、自分は賭けた。

「お兄様、あたしはあきらめません」

陽平に、そして自分自身に言い聞かせるように、綾香は言った。

陽平が下に向けていた視線を綾香に向けた。

「陣内さんの心の中に誰がいようと、あたしには関係ありません。

あたしは、彼が好きなのですから。

例え彼の心の中にあたしがいなくても、あたしはそんな彼の心の中に入って見せます」

いつもの強気な姿勢を見せながら、綾香は言った。