同じ頃。

「親戚の子?」

そう聞き返した綾香に、
「おじいさんの遠い親戚の子供らしいけど、ちゃんと血縁関係はあるみたいだよ」

陽平は答えた。

「陣内さんがそう言ってたの?」

「本人がそう言ってたんだ、ウソ偽りはあるまい」

陽平はふうっと息を吐くと、
「陣内さん、目つきも勘も結構鋭い人だったよ。

男らしいってとこは同性の俺も認めるけど、義弟になるとなあ」

髪をかきあげた。

綾香はそんな彼を見つめながら、黙って話を聞いていた。

「それから、やめた方がいい」

そう言った彼に、綾香は驚いたと言うように目を見開いた。