「――陣内」

背中を見せる彼の名前を呼ばずにいられなかった。

「明日も早いんだし、飯を食うぞ。

せっかくひまわりが作ってくれたんだから」

「ああ」

陣内がようやく腰をあげた。

テーブルに歩み寄ると、椅子に座った。

「朝、社員旅行に連れて行くことをひまわりに話してやれよ」

「そうだな」

「それから明日仕事が終わったら、ひまわりを買い物に連れて行け」

「何でだ?」

「旅行に必要なものを買ってやらないと、ダメだろ?」

笑いながら言った藤堂に、
「じゃ、お前は荷物持ちな」

陣内が言った。

「はいはい、わかりましたよ」

藤堂は首を縦に振ってうなずいた。